ジャズの名盤中の名盤、ビル・エヴァンスの「ワルツフォーデビー」をレビューしたいと思います。
このアルバムです。
»「ワルツ・フォー・デビイ|ビル・エヴァンス・トリオ」の詳細はこちら
ベーシスト観点で、いくつか書いていきます。
ジャズの名盤「ワルツフォーデビー」ベーシスト観点のレビュー
演奏メンバーを一応書いておくと、
- ピアノ:ビル・エヴァンス
- ベース:スコット・ラファロ
- ドラム:ポール・モチアン
普通なベースが1曲もない
とにかくスコット・ラファロが音楽に参加しまくります。
いわゆる、「テーマは2分音符で弾いて、ソロに入ったらウォーキング」のような普通の演奏が存在しません。
でもベーシストは聴いてて楽しいですが、他の楽器のひとはどうなんでしょう。
エディ・ゴメスのマネが多発?
後々のエヴァンスのトリオで活躍したベーシストにエディ・ゴメスがいますが、彼もよく動くベーシストです。
彼をマネする世のベーシストはあんまり好かれない印象なので、難しいですね。
きっと彼らのように、ベースの役割もこなしながら音楽に積極的に参加するのは、かなりの技量が必要なのでしょう。
美しい「My Foolish Heart」
このアルバムにはバラードが3曲も入っています。
- My Foolish Heart
- Detour Ahead
- I love You, Porgy
どれも美しい「間」であふれています。
バラードは「間」を楽しめるようになると良いですね。
ベースの和音が気持ちいい
スコット・ラファロのコードワークというか、和音を弾く部分が、毎回聴いて気持ちがいいです。
音程がいいんですよね。
ラファロ自身、音程にうるさかったと伝記にも載っていました。
日本の映画にも
ちなみに、この曲はこの映画でもがっつり使われているんですよ。
» 映画「大停電の夜に」で、豊川悦司さんが弾いている曲【ジャズベース】
というか、このアルバムのジャケットも引用して出演者を紹介したり、トヨエツがベースを弾いたり、それなのに特にジャズは触れない、ナゾな映画でした。
コードの処理に終わらないベースソロ
スコット・ラファロはやっぱり素晴らしいなと思います。
タイトル曲の「ワルツフォーデビー」など、コードが2拍で変わっていく、ともすれば、せわしない演奏になりがちな曲なのに、ずっとメロディアスなソロをとっています。
なかなかできることではありません。
得意の分散和音も
上にあげたラファロの伝記に、「分散和音をよく練習していた」というくだりがあります。
「ワルツフォーデビー」のソロに、するどい分散和音が出てきますね。
ウッドベース(コントラバス)で分散和音は、かなり難しいです。
ピアノやギターなら簡単なことが、ベースでは一気に難しくなります。
完璧にやってのけるラファロは、やっぱりすごい。
個人的に好きな曲「Detour Ahead」
「ディトゥア・アヘッド」
少しマニアックなスタンダードかもしれません。
美しいメロディとコード進行が好きです。
ぜひ歌モノも聴いてみてくださいね。
サラ・ヴォーンのはいかがでしょう?
»「Detour Ahead|サラ・ヴォーン」の詳細はこちら
ドラマーにも注目
このアルバムは、というかビル・エヴァンストリオは、いつもピアノやベースに注目がいきます。
しかしドラムにも、ぜひ注目して聴いてみてください。
このアルバムのポール・モチアン、とても繊細な仕事をしています。
まるで、自由に遊ぶ二人の子供を見守るお父さんのようです。
間違いなく、ポール・モチアンなくして、このアルバムの繊細な雰囲気は出せなかったでしょう。
ピアノトリオは自由で楽しい
ピアノトリオはベーシストにとって、比較的自由な形態といえます。
スコット・ラファロのように自由に動き回るスタイルも、ピアノトリオという形態だからやりやすかった、というのはあるでしょう。
またベースソロもたくさん回ってくるので、やり甲斐も大きいですね。
ぜひみなさんも、ピアノトリオを組んでジャズを楽しんでください。
それでは以上です。
今回のアルバムに限らず、ぼくは「Amazon Music HD」で音楽を聴いています。
»【超オススメ】Amazon Music HDの音質が最高すぎる話
また今回のページは、
アルバムレビュー記事まとめ【ジャズベーシストからのオススメ音源】
に追加しました。
合わせてこちらもどうぞ。