今日は、10月29日。
もう朝晩は、けっこう寒い。
羽織るものに自然と手が伸びる季節になってきた。
「なのに、部屋に蚊が一匹いる」
お勝手にくると、毎日かならず「プーン」と寄ってくる。
たぶん同じ個体だ。
この間は、コイツに派手に刺された。
1cm以上に大きくハレて、かくのを我慢するのが大変だった。
最初にコイツの存在を知ったときは、駆除しようと考えた。
ぼくの蚊に対する認識は「害虫」だ。
アフリカでは病気を媒介する危険な生物だし、ぼくなどは、蚊にさされると、ときに全身が熱くなりアトピーがひどくなる。
しかし、もしかすると。
これだけ朝晩寒い。
おそらくアイツは、体を思うようには動かせないのではないだろうか。
翔ぶことさえ、かなり大変なことなのかもしれない。
「今回は、コロさないでおいてやろうかな」
ハンデを負っていると思うと、なんだかアイツが、とても不憫に思えてた。
しかもアイツが強い個体であるのを、ぼくは知っている。
この間、蚊取りをけっこう焚いたのに、こうして生きているのだ。
「なんだか、引退の機を逃した、老ボクサーみたいじゃないか」
こうなったら、生きられるだけ生きてほしい、と思うようになった。
積極的に刺されにはいかないけど、スキをついて刺された場合には負けを認めよう。
こうやって文章を書いている間にも、また寄ってきた。
キミ。
変わり者に生まれると、ホント大変だよな。
でも美しいよ、キミ。