モノローグ #8

モノローグ #8 MONOLOGUE

好きなテレビ番組が、ひとつあります。

BS世界のドキュメンタリーです。

いろいろな国のドキュメンタリー作品を流してくれる、なかなか貴重な番組で、海外の文化が好きなぼくにちょうどいいです。
1回の長さも 45分と、ちょうどいい。

ドキュメンタリー番組なので、社会問題を扱ったものがおおく、いつもテーマは重いです。

中でも印象にのこっている作品がいくつかあります。
むかしどこかにも書いたと思いますが、中国の郵便配達員の話が一番好きです。

山奥の、奥の、さらに奥にある小さな村に、郵便物を届ける、配達員がいます。

その村はネットなんてもちろんなくて、郵便が唯一の連絡手段です。

配達員は、あるひとりの男性がいつも担当しています。
素朴で真面目そうな男性が映ります。
彼が毎回荷物を持っていきます。

彼は数ヶ月に一度、村をおとずれます。
村に行くためには山を二つ越えないといけません。

行くだけで本当に大変ことです。
当然、車や自転車なんて使えず、足で歩いて向かいます。

村の人たちにとって、とても大切な郵便物です。
配達員の彼は、そのことをしっかり分かっていて、村の人たちのためにがんばって歩きます。
川で休んだりしつつ、長い長い道のりを歩き続けます。

村に到着したら、それぞれの家をまわります。
都市部にいる家族からの荷物などを届けてまわります。

そのうち、あるおばあちゃんの家に荷物を届けるシーンが映りました。
おばあちゃんはひとりでその家に住んでいるようです。

郵便物の中には手紙が入っていました。

おばあちゃんは字が読めません。
代わりに配達員の彼が読んであげます。
おばあちゃんは、すぐそばに座って聞きます。

手紙の内容は、家族の悲しい知らせでした。

聞いたおばあちゃんは泣いてしまいます。
素朴な配達員の彼も一緒に泣いてしまいます。

手紙を前に、泣く二人が映ります。

彼は村を出て、またここに戻ってきます。
彼がいないとこの村は困ってしまいますからね。

彼が運ぶものは、普通の配達員が運ぶものとは少しちがう気がします。
郵便物以外にも、なにか一緒に運んでいるような。
きっとそれは、ぼくらが忘れがちなもので。

もしかしたらいまちょうどいまごろ、がんばり屋の配達員が、山を歩いてるいるところかもしれませんね。

山は晴れて、ちょうどよい暖かさであればいいなと思います。

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