モノローグ #11

モノローグ #11 MONOLOGUE

カレは秋が一番好きだ。

その他の季節に順位をつけるとすれば、春、夏、冬、となる。

カレが秋を好む理由は単純で、過ごしやすいからだ。

春もいいのだけれど、春って意外と暑い。
カレは春になると、早々にTシャツ一枚で過ごしたがる。

夏はもちろん論外で、暑すぎると考えている。
ただ、冬よりは順位が上となる。
なぜなら夏はクーラーがすぐ効くからだ。
冬の暖房は効くのが遅い。

冬は冬で、やはり寒すぎるとカレは思っている。
寒いと指が動かなくなるので、楽器が弾きづらい。

その点、秋はすべてがちょうどいい。
暑くも寒くもなく、気候にストレスがない。
常春ならぬ、常秋を毎年望んでいる。

ただ、一番悲しくなる季節も秋だと、カレは思っている。

木は枯れていき、日も短くなっていく。
世の中がどんどん、茶色とオレンジを混ぜた色に塗り替えられていくのを感じる。

年々、秋が短くなっていっているのは、もしかするとカレにとって朗報かもしれない。

わざわざ嫌な想いをすることもないだろう。

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