この記事では「ユニゾン(Unison)」について話していこうと思います。
ユニゾンというのは複数人で同じ音のメロディを歌ったり演奏したりすることです。
それをおこなうとどうなるかというと、強調の効果があります。
聴くひとに、より強く印象をあたえることができます。
■ 便利な「ユニゾン」
ユニゾンの強調効果は何かと使えます。
作曲にはもちろん、練習にも。
今回はこのあたりのことを話していこうと思います。
*この記事では同じ演奏者が音を重ねたものもユニゾンとして話していきます。
レコーディングでは本人が別録りで重ねるわけですから、ユニゾンの効果をねらったものととらえることができます。
音楽におけるユニゾンについて【効果、利用例】

音楽の各ジャンルごとに、ユニゾンの使用例と効果をみていきます。
ポップスにおける利用
Blackmore's Night / ブラックモアズナイト
同じボーカリストの声が重なっていますね。
弱い声質でも重ねることで説得力が増します。
なお、弱い声を補うためにマイクにもこだわったと、リッチー・ブラックモア(ギタリスト兼プロデューサー兼旦那さん)は語っています。
カヒミ・カリィ
おなじく弱い声でも重ねることで印象が強くなります。
カヒミ・カリィさんの場合、アートな雰囲気も追加され、オリジナリティあふれる感じに仕上がっていますね。
King Gnu / キングヌー
ツインボーカルで、オクターブユニゾンでメロディをつくっています。
ぼくはキングヌーの成功は、楽曲のよさもさることながら、このオクターブユニゾンをおこなったことも大きく影響していると考えています。
Goose house / グースハウス
男性と女性のオクターブユニゾンもしばしばみられます。
上のキングヌーと同じですね。
ジャズにおける利用
ビックバンドのメロディ
ジャズのビッグバンドでは同じメロディを複数人またはセクション全員で演奏することがあります。
たとえば下の「茶色の小瓶」はテーマメロディをサックスセクションの何人かでユニゾンしています。
ギターのオクターブ奏法
ジャズではギターは歪ませずクリーントーンで演奏するので、音が少し細く弱いものになりがちです。
ウェス・モンゴメリーの演奏で有名な「オクターブ奏法」をすれば、それがしっかりした音になり、メロディを弾いても他の楽器に負けないくらい印象的なものになります。
スキャット
ジャズやインスト音楽ではギターやベースなどで、楽器と声を同時に出すパフォーマンスがしばしばおこなわれます。
クラシックにおける利用
Bolero - Ravel
ラヴェルのボレロは同じメロディ(テーマ)がずっと演奏されますが、だんだんそのメロディに参加する人数が増えていき、盛り上がるようつくられています。
ユニゾンの、練習への活用

ユニゾンはつよく印象に残るので、これを利用して練習をより効果的なものにすることができます。
たとえば、いま、あるあこがれの演奏家の弾いたフレーズを自分のものにしようと練習しているとします。
その際に、音源と一緒にユニゾンで練習するのです。
自分の耳にはふたつの音がユニゾンで聴こえているので印象深くなり、習得がはやくなるという寸法です。
実際やってみるとわかりますが、ふつうに練習するより、フレーズの体へのインストール(吸収)がはやくなります。
要は耳コピーと同じような効果が得られるわけですね。
記事は以上になります。
これからはユニゾンにも着目して音楽を聴いてみてくださいね。