モノローグ #10

モノローグ #10 MONOLOGUE

昨晩は寒くて風があって、そのせいで星がキレイでした。

ぼくの家のあたりは、少し中の方にはいると、まだ田んぼがけっこうのこっています。

きのうの夜、最近の日課で外を走っていました。

息切れの休憩のために歩きに変えて、ふと気づくと、まわりが田んぼばかりの、少しひらけた場所に立っていました。

マンションなど高い建物はなく、空をせまくするものはありません。
空にはたくさんの星。ちょうど月もない夜でした。

まるでプラネタリウムです。
両目あわせて 1.0 のぼくでも、たくさんの星が見えました。

目の前には夜空の半分をしめようかというオリオン座。
まるで行く手をはばむように手をひろげています。
腰には短剣の三ツ星がキラリ。

なぜか急に不安になりました。

うしろをサッと振り返ると、こちらもまた、いかり肩の北斗七星がこちらを見下ろしています。

「正座に囲まれてる」

なんだか、怖い大きなものがぼくのいる一帯を覆っているような気になりました。
それは怖いというか、厳しいモノ。

体に電気がはしり、この星空を太古の人々も眺めたであろうことが、急に想起されました。
時間がぼくを襲ってきます。

幸いにしてそれらの動きは遅く、ぼくはオリオン座の脇をすり抜けるようにして、走って逃げました。

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